看護師の残業代計算:1時間いくら?基本給と残業時間から月の額を出す
公開日:
看護師の残業代は、月給(基本給+毎月の手当)÷ 月平均所定労働時間 × 1.25 が1時間の単価です(労働基準法37条・施行規則19条)。統計の平均(所定内給与33.32万円、月156時間)で計算すると1時間2,670円。下の計算では、自分の基本給・年間休日・残業時間から、1時間の単価と月の残業代、固定残業代が法定の額を下回っていないかまで出します。
| 1か月平均の所定労働時間 | |
|---|---|
| 1時間あたりの賃金 | |
| 残業1時間の単価(×1.25) | |
| 深夜の残業1時間(×1.5) | |
| 法定休日1時間(×1.35) | |
| 月60時間を超えた分の1時間(×1.5) | |
| 時間外(60時間まで)の残業代 | |
| 60時間を超えた分 | |
| 深夜の上乗せ(+0.25) | |
| 法定休日の分 |
1時間あたりの賃金と各単価は円未満を四捨五入しています。入力した内容はこの端末の中だけで計算に使い、金額そのものは送信・保存しません(匿名の集計は区分に丸めた値だけ)。
看護師の残業代は1時間いくら?平均の単価は2,670円
厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査(看護師、男女計、企業規模10人以上)では、所定内給与が月33.32万円、所定内実労働時間が月156時間です。この2つから1時間あたりの賃金を出すと2,136円。残業の単価はその1.25倍で2,670円、深夜に重なった残業なら1.5倍の3,204円になります。
| 項目 | 看護師の平均 | 出し方 |
|---|---|---|
| 所定内給与(月) | 33.32万円 | 統計の値(残業代・夜勤手当などを除く毎月の給与) |
| 所定内実労働時間(月) | 156時間 | 統計の値 |
| 1時間あたりの賃金 | 2,136円 | 333,200円 ÷ 156時間 |
| 残業1時間の単価 | 2,670円 | 2,136円 × 1.25 |
| 深夜に重なった残業1時間 | 3,204円 | 2,136円 × 1.5 |
| 法定休日の1時間 | 2,884円 | 2,136円 × 1.35 |
| 超過実労働時間(月) | 6時間 | 統計の値(所定の時間を超えた分) |
| きまって支給する現金給与額-所定内給与額 | 3.27万円 | 36.59万円 − 33.32万円(時間外・休日・深夜の労働に払われた分) |
統計は、平均で見た1人の看護師に月6時間の超過労働があり、時間外・休日・深夜の労働に対して月3.27万円が払われている、と読めます。6時間を平均の単価2,670円で払うと16,020円。残りの約1.7万円は、夜勤の深夜割増や休日の分と見るのが自然です(この内訳は統計に載っていないので、ここは推測です)。
正直、平均の残業が月6時間というのは少なく感じました。この調査は病院などの事業所が賃金台帳をもとに答えるものなので、払われた残業だけが数字になります。申告していない前残業や勉強会の時間は、最初からこの6時間に入っていません。
1,000人以上の大きな職場では、所定内給与34.39万円・所定内実労働時間155時間・超過実労働時間9時間で、単価も残業時間も平均より上です。自分の単価が平均より低いなら、基本給が低いか、所定労働時間が長いかのどちらかです。
残業代の計算式:月給 ÷ 月平均所定労働時間 × 割増率
- 1か月平均の所定労働時間を出す:(365日 − 年間休日)× 1日の所定労働時間 ÷ 12。月ごとに所定労働時間が違う職場では、この1年間の平均を使います(施行規則19条)。
- 1時間あたりの賃金を出す:基本給と毎月の手当(除外できる手当を除く)の合計を、1の時間で割ります。
- 割増率を掛ける:時間外は1.25倍、深夜(22時〜5時)はさらに0.25を上乗せ、法定休日は1.35倍、月60時間を超えた時間外は1.5倍(労働基準法37条)。
- 時間を掛けて足す:それぞれの時間数を掛けて合計したものが、月の残業代です。
| 年間休日 | 1日8時間 | 1日7.75時間 | 1日7.5時間 |
|---|---|---|---|
| 105日 | 173.3時間 | 167.9時間 | 162.5時間 |
| 110日 | 170.0時間 | 164.7時間 | 159.4時間 |
| 120日 | 163.3時間 | 158.2時間 | 153.1時間 |
| 125日 | 160.0時間 | 155.0時間 | 150.0時間 |
上の表が「1か月平均の所定労働時間」です。同じ基本給25万円でも、年間休日105日・1日8時間の職場なら1時間1,442円、年間休日125日・1日7.5時間なら1,667円。休みが多く所定労働時間が短い職場ほど、残業1時間の単価は高くなります。
割増の基礎から外してよい手当は7つだけ
| 外してよいもの(施行規則21条・法37条5項) | 基礎に入るもの(例) |
|---|---|
| 家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など) | 基本給、職務手当、資格手当、役職手当、調整手当、皆勤手当など毎月決まって払われるもの |
静岡労働局の資料は、外してよい手当は「労働と直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されている」ものに限られ、名前が家族手当や住宅手当でも、全員に一律の額なら基礎に入ると説明しています。求人票で「諸手当込み」の月給が大きく見えても、基礎に入る手当が少なければ残業の単価は上がりません。
割増率の早見表:時間外25%・深夜25%・休日35%・月60時間超50%
| 働いた時間 | 割増率 | 1時間の単価(1時間の賃金に対して) |
|---|---|---|
| 法定の労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間外 | 25%以上 | ×1.25 |
| 時間外が月60時間を超えた分 | 50%以上 | ×1.5 |
| 深夜(22時〜5時) | 25%以上を上乗せ | 時間外なら×1.5、60時間超なら×1.75 |
| 法定休日(週1日の休み) | 35%以上 | ×1.35(深夜に重なれば×1.6) |
法定休日の労働時間は、月60時間の数えに入りません。また、月60時間を超えた分は、割増の代わりに有給の休暇(代替休暇)を与える定めを労使協定で置くこともできます(法37条3項)。
残業代が出ない?「労働時間」に入るもの
厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)は、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」とし、次の時間も労働時間だとしています。
- 使用者の指示で、業務に必要な準備行為(着用を義務づけられた服装への着替えなど)や、業務終了後の後始末を職場で行った時間
- 参加が業務上義務づけられている研修・教育訓練や、使用者の指示で業務に必要な学習をしていた時間
- 「自主的な研修」と報告されていても、実際には使用者の指示で業務に従事していたと認められる時間
看護師の職場に当てはめると、始業前の情報収集やユニフォームへの着替え、出席を求められる委員会・勉強会は、病院の指示があるなら労働時間です。ガイドラインは、使用者が労働時間を自己申告だけに任せず、実態と合っているかを調べることも求めています。
固定残業代の求人は、金額より「何時間分か」を先に見ます。3万円で15時間分なら1時間2,000円。上の計算で自分の法定の単価を出して、これより低ければ求人票の段階で条件が合っていません。
固定残業代(みなし残業)の求人で確かめる3つ
厚生労働省は、固定残業代を含めて賃金を表示する場合、募集要項や求人票に次の3つをすべて明示するよう求めています(若者雇用促進法に基づく指針)。
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業代に関する労働時間数と金額等の計算方法
- 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して割増賃金を追加で支払う旨
上の計算ツールに固定残業代の金額と時間数を入れると、その時間数分の法定の額と比べ、残業時間が固定分を超えたときに追加で払われるべき額を出します。
払われていない残業代は3年前の分まで請求できる
賃金の請求権の時効は、法律の本則では5年ですが、当分の間は3年とされています(労働基準法115条・附則143条。退職手当は5年)。職場との話し合いで解決しないときは、都道府県労働局や労働基準監督署などにある総合労働相談コーナー(全国378か所、予約不要・無料)に相談できます。
残業が多い職場から、条件で比べ直す
残業代が正しく払われていても、月20時間の残業は年240時間です。基本給が1万円高い求人より、残業が月10時間少ない求人のほうが、時間あたりで見れば得なこともあります。求人の年収比較は夜勤・賞与・休日を年額にそろえて比べられ、手取り計算では残業代込みの月給から手取りが出ます。給料の上げ方は看護師の給料アップの方法にまとめています。
計算の前提と注意
- このページは労働基準法の最低の割増率で計算した目安です。就業規則で法定より高い率を定めている職場では、実際の額はこれより多くなります。
- 「残業時間」は法定の労働時間(1日8時間・週40時間)を超えた時間として計算しています。所定労働時間が7.5時間の職場で8時間まで働いた30分は、法律上の割増は不要で、就業規則の定めによります。
- 1か月単位の変形労働時間制(労働基準法32条の2)をとる病棟では、あらかじめ定めた日に8時間を超えて働いても、その分は直ちに時間外になりません。シフト表の所定時間を超えた分で入力してください。
- 深夜の時間は「残業のうち22時〜5時に重なった分」として、0.25を上乗せしています。夜勤そのものの深夜割増は夜勤手当に含めて払われるのが一般的で、この計算には入れていません。
- 監督・管理の地位にある人(労働基準法41条)には労働時間・休憩・休日の規定が適用されないため、時間外と休日の割増は出ません。条文で除外されているのはこの3つの規定で、深夜の割増(37条4項)は別の項です。師長・主任が41条の管理監督者に当たるかは役職名ではなく実態で決まるので、個別の判断は相談窓口に。
よくある質問
残業代の計算に、夜勤手当は入れますか?
夜勤手当は1回ごとに払われる額で、月ごとに決まった額ではないため、このページでは1時間あたりの賃金の基礎に入れていません。就業規則で毎月固定の「夜勤手当」になっている職場は、割増の基礎に入ります。迷うときは職場の賃金規程の「割増賃金の計算」の項を見るのが早いです。
パート・時給で働く看護師の残業単価は?
時給で働く人は、その時給が「1時間あたりの賃金」です(施行規則19条1号)。時給1,800円なら法定の時間外は2,250円、深夜に重なれば2,700円。このページの計算は月給の人向けなので、時給の人は時給に割増率を掛けてください。
残業時間は1分単位で数えるのですか?
割増賃金は実際に働いた時間に対して払うものなので、日ごとに15分や30分未満を切り捨てる扱いは、法律の計算とは合いません。タイムカードや電子カルテのログイン時刻など、時刻の記録を残しておくと、相談するときの材料になります。
出典(2026-10-14 確認)
- 政府統計の総合窓口(e-Stat)「令和7年賃金構造基本統計調査」職種(小分類)別 第1表(看護師の所定内給与額333.2千円、きまって支給する現金給与額365.9千円、所定内実労働時間数156時間、超過実労働時間数6時間、平均年齢42.1歳。企業規模1,000人以上は343.9千円・155時間・9時間)
- e-Gov法令検索「労働基準法」(37条の割増率、41条の適用除外、115条と附則143条の時効、32条の2の変形労働時間制)
- e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」(19条の1時間あたりの賃金の計算、21条の割増の基礎に入れない賃金)
- 静岡労働局「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引上げ」資料(PDF)(割増率の表、深夜・休日と重なるときの率、1時間あたりの賃金の計算式、除外できる7つの手当の説明)
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(労働時間の考え方、準備行為・研修の扱い、自己申告の実態調査)
- 厚生労働省「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」(PDF)(明示する3つの事項)
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」(全国378か所、予約不要・無料)