クリニックの給料は、病院よりいくら低い?
年収は病院全体より最大166万円低い。差の8割以上は給料

- 診療所(医療法人)の年収413.2万円看護職員1人あたりの給料と賞与の合計。同じ医療法人の病院は476.6万円で、63.5万円の差があります。
- 個人のクリニックの年収374.8万円一般病院全体の540.8万円と比べて166.0万円低い数字です。手取りでは年に約123万円の差になります。
- 賞与の月数2.3か月分前後診療所(医療法人)の賞与を月の給料で割った概算。病院の医療法人は2.2か月で、賞与の月数はほぼ同じです。
くわしく
クリニックの看護師の年収は、病院より低い?
結論から言うと、クリニックの看護師の年収は、病院より低いです。国の調査では、一般病院(全体)が540.8万円、一般診療所(医療法人)が413.2万円、個人の診療所が374.8万円でした。
数字は、厚生労働省の「第25回医療経済実態調査」(令和6年度、令和7年11月26日公表)の、常勤の看護職員1人あたりの平均です。給料と賞与に分けると次のとおりです。
| 勤め先 | 給料(年) | 賞与(年) | 年収 | 年収の手取り(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 一般病院(全体) | 435.6万円 | 105.2万円 | 540.8万円 | 約416万円 |
| 一般病院・医療法人 | 402.8万円 | 73.9万円 | 476.6万円 | 約367万円 |
| 一般診療所・医療法人 | 347.0万円 | 66.2万円 | 413.2万円 | 約323万円 |
| 一般診療所・個人 | 313.2万円 | 61.6万円 | 374.8万円 | 約293万円 |
手取りは、東京都・協会けんぽ・40歳以上・扶養なしとして、令和8年度の保険料率で当サイトが計算した目安です。額面のうち、手元に残るのはおよそ75〜78%です。ご自身の条件では手取り計算で出せます。
この調査の「看護職員」は、保健師・助産師・看護師・准看護師の平均です。准看護師も入っているので、看護師だけの平均はこれより高い可能性があります。全国の看護師の平均年収は、看護師の平均年収で別の統計から見られます。

クリニックと病院の差は「約166万円」と言われますが、これは病院全体と個人のクリニックを比べた、いちばん大きい差です。同じ医療法人どうしなら63.5万円。自分が比べたい相手がどれかを先に決めないと、数字に振り回されます。
病院との差は、給料と賞与のどちらから生まれる?
同じ「医療法人」どうしで比べると、差の中身が見えます。病院の医療法人と、診療所の医療法人の差は、年に63.5万円です。
| 項目 | 病院・医療法人 | 診療所・医療法人 | 差 |
|---|---|---|---|
| 給料(年) | 402.8万円 | 347.0万円 | 55.8万円 |
| 賞与(年) | 73.9万円 | 66.2万円 | 7.7万円 |
| 年収 | 476.6万円 | 413.2万円 | 63.5万円 |
差の88%は給料、賞与の差は12%です。賞与の月数にも差があるのかを見るため、年の給料を12で割った「月の給料」に対する賞与の月数を概算すると、病院の医療法人は約2.2か月、診療所の医療法人は約2.3か月でした。
つまり、賞与は月数ではほとんど変わらず、土台の給料が低いぶん、賞与の額も小さくなっています。診療所の賞与の額が小さいのは、月数が低いからではなく、月の給料の差が反映されているためと読めます(この月数は年額から当サイトが割り算した概算で、調査が公表した月数ではありません)。
| 勤め先 | 月の給料(年÷12) | 賞与の月数(概算) |
|---|---|---|
| 一般病院(全体) | 約36.3万円 | 約2.9か月 |
| 一般病院・医療法人 | 約33.6万円 | 約2.2か月 |
| 一般診療所・医療法人 | 約28.9万円 | 約2.3か月 |
| 一般診療所・個人 | 約26.1万円 | 約2.4か月 |
病院全体(約2.9か月)が高いのは、国立・公立の病院が平均を引き上げているためと読めます。公立病院の看護職員は、給料475.5万円と賞与137.8万円の合計が613.3万円で、調査で見える中でもっとも高い区分です。

賞与の月数だけ見ると、診療所と医療法人の病院はほぼ同じでした。クリニックの賞与が少ないのは、制度の違いというより、土台の給料の差をそのまま引き継いでいるだけ。交渉するなら賞与より、先に基本給を見るほうが筋が通ります。
差の大きさは、夜勤手当とほぼ同じ?
病院と診療所の違いとして思い浮かぶのが夜勤です。そこで、公的な夜勤手当の数字と差を並べてみます。
日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」では、夜勤手当の平均は、2交代の夜勤で1回11,470円でした。月4回の夜勤を1年続けると、11,470円×4回×12か月で年55.1万円になります。
給料の差55.8万円と、夜勤手当の年55.1万円は、ほぼ同じ大きさです。病院で夜勤をしている看護師と、クリニックで日勤をしている看護師の差の大半は、夜勤手当で説明できそうだ、というのが当サイトの読みです。
ただし、これは公的な数字を並べた試算です。調査の給料に夜勤手当が含まれているか、病院の看護職員が平均で月何回の夜勤をしているかは、概要資料からは確認できません。病院の看護職員の全員が月4回の夜勤をしているわけでもありません。因果関係を示すものではなく、差の大きさの目安として読んでください。
| 比べるもの | 年額 |
|---|---|
| 病院と診療所(医療法人どうし)の給料の差 | 55.8万円 |
| 2交代の夜勤 月4回の夜勤手当(1回11,470円) | 55.1万円 |
| 3交代の深夜勤 月4回(1回5,211円) | 25.0万円 |
| 3交代の準夜勤 月4回(1回4,300円) | 20.6万円 |
夜勤の回数を変えた場合の額面と手取りは、夜勤手当の相場にまとめています。
クリニックに移る前に、求人票で確かめること
差のほとんどが「夜勤をしているかどうか」で説明できるなら、クリニックに移って下がる額は、今の夜勤手当の額に近くなります。移る前に、次の項目を数字で確かめておくと、思った以上に下がる心配が減ります。
| 求人票の項目 | 確かめること |
|---|---|
| 基本給 | 月給の総額ではなく基本給。今の職場の基本給と比べる |
| 賞与 | 前年度の実績が何か月分か。基本給×◯か月か、月給×◯か月か |
| 経験の評価 | これまでの病院での経験年数が、基本給にどう反映されるか |
| 年間休日・残業 | 休日が多く残業が少なければ、1時間あたりの給料は下がりにくい |
| 昇給 | 昇給の有無と、1回の昇給額の実績 |
年額が下がっても、休日や残業が違えば、働く時間あたりの額は同じとは限りません。休日や残業の条件も入れて比べるときは、求人の年収比較が使えます。
求人票だけでは、基本給と夜勤手当の内訳や、賞与の実績までは読み取れないことがあります。看護師専門の転職サービスなら、担当者が求人の条件を確認し、紹介までを手伝ってくれます。求職者は無料で使えます。
サービスごとの違いは、看護師の転職サービスの比較で見られます。
病院のまま、給料を落とさず夜勤をなくす道
クリニックに移らなくても、夜勤の負担を減らす道があります。いちばん下がりにくいのは、今の病院で日勤のみに変えることです。基本給と賞与はそのままで、減るのは夜勤手当だけです。
日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」では、日勤のみの働き方を用意している病院は54.7%でした。看護職員実態調査では、「職場に夜勤はない」が19.6%、「夜勤はあるが現在はしていない(日勤のみ)」が11.3%でした(労働政策研究・研修機構の紹介記事より)。
日勤のみの働き方でいくら残るかは、夜勤なし(日勤のみ)の年収で計算しています。給料を上げる方法は看護師の給料アップの方法にまとめました。
まとめ
- 看護職員の年収は、一般病院全体540.8万円、病院の医療法人476.6万円、診療所の医療法人413.2万円、個人の診療所374.8万円(令和6年度)
- 同じ医療法人どうしの差63.5万円のうち、給料が55.8万円、賞与が7.7万円。賞与の月数は約2.2か月と約2.3か月でほぼ同じ
- 給料の差は、2交代の夜勤手当 月4回の年55.1万円とほぼ同じ大きさ。夜勤の有無が差の大きな部分と読めるが、因果は確認できていない
- 移る前は、基本給・賞与の実績・経験の評価・年間休日を数字で確かめる。夜勤の負担だけが理由なら、病院のまま日勤のみになる道もある

クリニックが病院より「低い」のは事実です。ただ、その差のほとんどが夜勤手当で説明できそうだと分かれば、クリニックを選ぶかどうかは「夜勤手当を手放してでも、日勤の暮らしがほしいか」という問いに変わります。年収の数字より、この問いのほうが選ぶ決め手になるはずです。
よくある質問
Q. この表の「看護職員」は、看護師だけの平均ですか? A. いいえ。保健師・助産師・看護師・准看護師の平均です。准看護師も含まれるため、看護師だけの平均は異なる可能性があります。
Q. 賃金構造基本統計調査の平均年収と数字が違うのはなぜですか? A. 医療経済実態調査は医療機関の事業年度の決算をもとに、施設の種類別に常勤の看護職員1人あたりの給料と賞与を出した調査です。賃金構造基本統計調査は労働者の賃金を調べた別の調査で、対象の範囲も年も違います。この記事の表は、病院と診療所を同じ調査で比べるために、前者を使っています。
Q. 手取りの目安はどうやって出していますか? A. 年収から、東京都・協会けんぽ・40歳以上・扶養なしの条件で、令和8年度の保険料率と税額表を使って当サイトが計算しています。お住まいの地域や家族の状況で変わるので、自分の条件は手取り計算で確かめてください。
Q. 眼科や美容系など、診療科による違いは数字で分かりますか? A. 今回使った調査の概要資料には、診療科別の看護職員の給料は載っていません。診療科による差は、この記事では扱っていません。
出典(2026-10-25に確認):
- 厚生労働省「第25回医療経済実態調査(医療機関等調査)報告の概要」(一般病院・一般診療所の職種別常勤職員1人平均給料年額等、令和6年度。令和7年11月26日公表)
- 労働政策研究・研修機構「正規雇用看護職員の離職率は11.0%/日本看護協会調査」(日本看護協会「2025年病院看護実態調査」の夜勤手当・日勤のみの割合)
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