看護師の夜勤回数に上限はある?月8回と72時間、2つの目安の読み方
月8回・72時間・連続2回まで。夜勤の目安を、2交代の回数に直して並べます。
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クイック結論
先に答え
- 夜勤の回数そのものを決める法律の上限は見当たらない。あるのは、3交代は月8回以内という国の指針(努力目標)と、日本看護協会のガイドライン
- 病院の施設基準の「月平均72時間以下」は病棟全体の平均。夜勤1回16時間の2交代なら、月4.5回が計算上の目安
- 2025年9月の一般病棟では、夜勤が72時間を超える人が33.9%。自分の夜勤を時間に直して、基準と並べてみる
看護師の夜勤の回数に、法律で決まった「月◯回まで」の上限はありません。
あるのは、国の指針と日本看護協会のガイドライン、そして病院が守る診療報酬の施設基準。3つとも「目安」や「病院の基準」で、働く人1人ずつの上限ではない点が混乱のもとです。
3交代と2交代で、目安を回数にどう直すかも含めて並べます。
1夜勤の回数に「上限」はあるか
3交代の目安
8回/月以内

労働基準法が深夜(午後10時〜午前5時)について決めているのは、割増賃金です。通常の賃金の2割5分以上を払うことが、第37条第4項で義務づけられています(厚生労働省「労働基準法に関するよくある質問」)。夜勤の回数を決める条文ではありません。
夜勤の回数の目安は、別のところにあります。
| 目安 | 中身 | 性格 |
|---|---|---|
| 看護師等確保基本指針(令和5年10月告示) | 3交代制の場合は、複数を主として月8回以内の夜勤体制の構築に向けて、引き続き積極的に努力する必要がある | 国の指針。病院・国・都道府県の努力目標 |
| 日本看護協会ガイドライン(2013年)の基準3 | 3交代制は月8回以内を基本とし、それ以外の交代制は労働時間などに応じた回数とする | 職能団体が示す基準。法的な拘束力はない |
| 入院基本料の施設基準(令和8年度の通知) | 夜勤を行う看護職員1人あたりの月平均夜勤時間数が72時間以下 | 病院が診療報酬を算定する条件。病棟全体の平均 |
3交代の「月8回」の由来は古く、1965年の人事院の判定(「看護職の夜勤は8時間3交代勤務において、2名、月8回以内を基本とする」。通称ニッパチ判定)です。協会のガイドラインは、2013年の時点で、夜勤回数について公的な目安として存在するのはこの判定だけだと書いています。
2交代については、国の指針にも協会の基準にも回数の数字はありません。ガイドラインが書いているのは「労働時間などに応じた回数」まで。数字がないから「何回でもいい」のではなく、自分で時間に直して見るしかありません。次の章で直します。
「月8回まで」は、3交代の話。2交代の人が「自分は4回だから大丈夫」と言えるのかは、時間に直さないと分かりません。
272時間を回数に直すと:2交代なら月4.5回
月平均夜勤時間数の基準
72時間以下/月

病院の施設基準にある72時間は、「同一の入院基本料を算定する病棟全体で、延べ夜勤時間数を夜勤に入った人数で割った数」が72時間以下、という意味です。病棟ごと、人ごとの上限ではありません。夜勤専従の人は、この計算に含まれません。
計算の細かい決まりは、夜勤72時間ルールの計算で数字を入れて確かめられます。ここでは、72時間を「夜勤1回の長さ」で割って、回数の感覚に直します。
| 夜勤1回の長さ | 72時間にあたる回数 |
|---|---|
| 8時間(3交代の準夜勤・深夜勤) | 月9回 |
| 12時間 | 月6回 |
| 16時間(2交代の長い夜勤) | 月4.5回 |
この表は、夜勤時間帯に実際に働いた時間で数えた単純計算です。夜勤時間帯の決め方や申し送りの時間の扱いは病院で違うので、実際の判定とは少しずれます。
見えてくるのは、次の2点です。
- 3交代の月8回(64時間)は、72時間の基準より1回ぶん厳しい。3交代は「月9回」から基準の72時間を超える
- 2交代の16時間夜勤は、月4回で64時間、5回で80時間。月5回に入ると、1人の分だけで72時間を超える
病棟の平均が72時間以下でも、夜勤に入る人が少なければ、1人ひとりの回数は増えます。72時間は病院が守る基準で、あなたの夜勤が適正かどうかを決める数字ではない、ということです。
3実態:72時間を超える人は3人に1人
夜勤が72時間を超える人
33.9%の夜勤者
日本看護協会の「2025年病院看護実態調査」では、2025年9月の1か月間に一般病棟で働いた看護職員の夜勤時間が、次のように報告されています。
| 夜勤時間 | 割合 | 前年度との差 |
|---|---|---|
| 0時間 | 6.7% | 0.3ポイント増 |
| 1〜16時間未満 | 9.0% | 0.2ポイント増 |
| 72時間を超える | 33.9% | 0.4ポイント減 |
72時間を超える人は、前年度より減ったものの、全体の約3分の1です。
ここで気をつけたいのは、72時間を超える人が3分の1いても、病院の基準違反とは限らないことです。基準は病棟全体の平均だからです。夜勤が0時間の人と16時間未満の人が合わせて15.7%いて、同じ病棟の平均はそうした人も含めた人数で決まります。
回数についての古い数字もあります。協会のガイドラインに載っている2010年の調査では、3交代制・変則3交代制の平均夜勤回数は8.5回で、43.1%の人が月9回以上でした。今の数字ではありませんが、「月8回」を超える人が多いという状況は、15年前から続いている目安の一つです。
夜勤が多い人と少ない人が同じ病棟にいる。自分の回数が「平均より多い側」かどうかは、同じ病棟の先輩や同期の勤務表を見れば、すぐ分かります。
4自分の夜勤が多いか、確かめる3つの見方
ガイドラインの基準
11項目

協会のガイドラインには、夜勤の回数のほかに、体への負担を左右する基準が全部で11項目あります。主なものは次のとおりです。
| 基準 | 内容 |
|---|---|
| 勤務間隔 | 勤務と勤務の間隔は11時間以上あける |
| 勤務の拘束時間 | 13時間以内 |
| 夜勤回数 | 3交代制は月8回以内を基本。それ以外は労働時間などに応じた回数 |
| 夜勤の連続回数 | 2連続(2回)まで |
| 連続勤務日数 | 5日以内 |
| 夜勤中の休憩・仮眠 | 夜勤の途中で1時間以上の休憩。連続した仮眠時間を設定する |
| 夜勤後の休息 | 2回連続夜勤後はおおむね48時間以上。1回の夜勤後もおおむね24時間以上が望ましい |
| 週末の休み | 少なくとも1か月に1回は、土曜・日曜ともに前後に夜勤のない休日をつくる |
| 交代の方向 | 正循環(日勤→準夜勤→深夜勤の順) |
| 早出の始業時刻 | 7時より前を避ける |
協会は、11項目をすべて同時に満たさなくてもよいとしています。施設の状況に合わせて優先順位をつけ、可能な範囲で進めるもの、という位置づけです。
この基準を使って、自分の勤務表を見る手順は3つです。
- 直近3か月の夜勤を、回数ではなく時間にする。回数×夜勤1回の長さ。72時間(月)を目安に、3か月とも超えているか、1か月だけかを見る
- 連続夜勤・勤務間隔・連続勤務日数を数える。2連続を超える夜勤、11時間未満の間隔、5日を超える連続勤務が、月に何回あるか
- 同じ病棟の人と並べる。自分だけが多いのか、病棟全体が多いのか。前者なら勤務表の調整、後者なら人員や体制の問題として相談の仕方が変わる
回数が基準を超えていても、相談先はあります。まず職場の看護管理者に勤務表の見直しを頼み、それでも変わらないときは、都道府県の医療勤務環境改善支援センターなどの窓口が使えます。
5夜勤が多いときの選択肢(負担が増えない順)
回数を減らす道は、今の職場のまま動くものから順に4つです。
① 勤務表の調整を頼む。夜勤の回数に上限の決まりがない以上、調整は職場との話し合いになります。時間に直した数字(「直近3か月、月平均◯時間」)と、協会の基準(2連続まで、勤務間隔11時間以上)を出して頼むと、話が具体的になります。
② 夜勤が少ない部署や働き方に変わる。同じ病院の中で、外来や日勤のみの働き方に移れるかを確かめます。夜勤をやめたときの年収の変化は、看護師が夜勤なしで働くと年収はいくら?で計算しています。
③ 夜勤の手当と回数を、年額で見直す。回数が多くても、1回の手当が高ければ釣り合うことがあります。2交代の夜勤手当は平均で1回11,470円(日本看護協会「2025年病院看護実態調査」)。月4回なら45,880円です。自分の手当が平均と比べてどうかは、夜勤手当の比較計算で確かめられます。手当の相場は看護師の夜勤手当の相場にまとめました。
④ 夜勤の回数を条件に、職場を比べる。求人票だけでは、夜勤に入る人の数までは分かりません。面接や問い合わせで、月の夜勤回数の目安と、夜勤に入るスタッフの人数を聞くと、病棟の平均が分かります。求人の回数と手当は、求人の年収比較で夜勤込みの年額にそろえて比べられます。
夜勤に入る人数や回数を、働きながら一社ずつ聞くのは手間がかかります。看護師専門の転職サービスなら、担当者が求人先に確認してくれます。求職者は無料で使えます。違いは看護師の転職サービスの比較にまとめています。
6よくある質問
夜勤は月10回でも違法ではないの?
回数だけを理由に、直ちに違法かどうかは決まりません。労働基準法が定めているのは、労働時間・休憩・休日、そして深夜の割増賃金です。回数の上限を決める条文はなく、月8回は国の指針の努力目標です。時間外労働の長さや割増賃金の未払いなど、個別の問題は労働基準監督署などの窓口に相談できます。
夜勤の連続は何回まで?
日本看護協会のガイドラインでは2連続(2回)までです。2回連続の夜勤のあとは、おおむね48時間以上の休息をとることが基準になっています。
夜勤専従だと、72時間の計算はどうなる?
令和8年度の施設基準の通知では、夜勤専従者(専ら夜勤時間帯に従事する者)は、月平均夜勤時間数を計算するときの人数と夜勤時間に含めないと決められています。夜勤専従の人は、この平均の計算の対象外です。
72時間を超えている病院は、どうなる?
72時間の基準だけを満たせなくなった病棟は、直近3か月に限って、減算した入院基本料で算定できます(月平均夜勤時間超過減算)。そのとき、病院は看護職員の採用活動状況などの書類を毎月10日までに地方厚生(支)局へ出します。一般病棟などでは、当分の間算定できる「夜勤時間特別入院基本料」もあり、医療勤務環境改善支援センターへの相談が条件です。
7まとめ
- 夜勤の回数を決める法律の上限は見当たらない。労働基準法が決めているのは深夜の割増賃金(2割5分以上)
- 回数の目安は、3交代で月8回以内(国の指針の努力目標、協会ガイドライン)。2交代は数字がなく、時間に直して見る
- 病院の施設基準の月平均72時間は病棟全体の平均。夜勤1回16時間なら月4.5回の目安で、1人の上限ではない
- 2025年9月の一般病棟では、夜勤が72時間を超える人が33.9%(前年度比0.4ポイント減)
- 自分の夜勤は、直近3か月を時間に直し、連続夜勤・勤務間隔・連続勤務日数を協会の基準と並べて見る
参考(いずれも2026-10-17に確認):
- 日本看護協会「看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン」(2013年)(勤務編成の基準11項目、1965年のニッパチ判定、2010年調査の平均夜勤回数)
- 文部科学省・厚生労働省「看護師等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」(令和5年10月26日告示第8号)(3交代制の月8回以内、仮眠、勤務間隔)
- 厚生労働省「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて」(令和8年3月5日保医発0305第7号)(月平均夜勤時間数72時間以下、夜勤専従者の扱い、月平均夜勤時間超過減算、夜勤時間特別入院基本料)
- 労働政策研究・研修機構「看護協会、2025年病院看護実態調査の結果を公表」(夜勤時間別の割合、夜勤手当の平均額)
- 厚生労働省「労働基準法に関するよくある質問(深夜の割増賃金)」(労働基準法第37条第4項)
- イラスト:Loose Drawing
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