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看護師の賃上げ、2026年はいくら?

国の目標は3.2%、医療・福祉の会社の実績は月8,540円(3.3%)

がま口の財布と積み上がる硬貨のイラスト
  • 国の目標(2026年度)3.2%診療報酬のベースアップ評価料で、看護職員など医療機関の対象職員の賃上げを支援。2027年度にもう3.2%です。
  • 医療・福祉の賃上げ額(2026年)8,540円/月改定率3.3%。全産業は13,926円・4.4%で、額は15産業の中でいちばん低い結果でした(厚生労働省の調査)。
  • 賃上げをした病院(2025年度)87.7%全職種の賃上げ率の中央値は3.0%、うちベースアップ評価料の分は2.5%(病院4団体の調査、1,236病院)。

くわしく

2026年の看護師の賃上げは、目標と実績でいくら違う?

看護師の賃上げには、「国の目標」と「実際に上がった額」の2つの数字があります。目標は、2026年度の診療報酬改定でベースアップ評価料が見直され、医療機関の対象職員(看護職員を含む)の賃金を2026年度に3.2%、2027年度にさらに3.2%上げるというものです。

実績のほうは、厚生労働省が2026年10月21日に公表した「令和8年賃金引上げ等の実態に関する調査」で見られます。常用労働者100人以上の会社組織の民営企業を調べたもので、産業ごとに「1人平均賃金の改定額と改定率」が出ています。1人平均賃金は所定内賃金(基本給と毎月の手当)の1か月の平均で、夜勤の割増手当や賞与は入りません。

数字率月の額何の数字か
国の目標(2026年度)3.2%—ベースアップ評価料で支援する賃上げ率。看護補助者・事務職員は5.7%
医療、福祉の実績(2026年)3.3%8,540円100人以上の会社組織の企業の1人平均賃金の改定。前年は2.3%・5,589円
全産業の実績(2026年)4.4%13,926円同じ調査の15産業の計。前年は4.4%・13,601円

率だけ見ると、医療・福祉の3.3%は国の目標3.2%をわずかに上回っています。ただ、額にすると月8,540円で、全産業13,926円の6割です。

医療、福祉の1人平均賃金の改定額は2025年の5,589円(2.3%)から2026年は8,540円(3.3%)に増えたが、全産業の計13,926円(4.4%)との差は月5,386円

この調査に入るのは「会社組織」の企業なので、医療法人や社会福祉法人、公立病院は対象外です。看護師の多くが働く病院そのものの数字ではなく、訪問看護や介護事業を会社として営む企業などの数字だと読むのが正確です。病院側の実績は、下の病院4団体の調査で見ます。

自分の給料に当てはめるなら、所定内の月給30万円で3.3%なら月9,900円、年に118,800円(税金や保険料を引く前)です。手取りでいくら残るかは、手取り計算に上がった後の月給を入れると出ます。

「目標3.2%」と聞くと全員が3.2%上がる印象ですが、実績の調査で出てくるのは平均です。医療・福祉の賃上げ額は去年から3千円近く増えたのに、全産業との差は月5,386円のまま。率で追いついても、額ではまだ離されているのが2026年の形です。

3.3%上がった月給で、手取りを計算する

医療・福祉の賃上げ額は、ほかの産業と比べてどれだけ低い?

同じ調査の産業別の改定額を、高い順に並べます。

産業改定額(月)改定率
建設業20,599円5.5%
学術研究、専門・技術サービス業19,492円5.4%
情報通信業17,884円4.4%
電気・ガス・熱供給・水道業17,634円5.0%
製造業15,134円4.7%
全産業の計13,926円4.4%
卸売業、小売業13,173円4.3%
金融業、保険業12,769円3.8%
教育、学習支援業12,674円4.3%
不動産業、物品賃貸業12,461円4.0%
宿泊業、飲食サービス業11,940円4.2%
サービス業(他に分類されないもの)11,927円4.3%
鉱業、採石業、砂利採取業11,589円4.1%
生活関連サービス業、娯楽業9,210円3.5%
運輸業、郵便業8,815円3.0%
医療、福祉8,540円3.3%

改定額は、医療、福祉が15産業の中でいちばん低い結果です。改定率は運輸業、郵便業の3.0%に次いで低く、下から2番目でした。建設業の20,599円と比べると、月に1万2千円の差があります。

2026年の産業別の1人平均賃金の改定額。医療、福祉は月8,540円(改定率3.3%)で15産業の中でいちばん低く、全産業の計は13,926円(4.4%)

率が低くないのに額が小さいのは、もとの賃金が低いからです。同じ3%でも、月給が40万円なら1万2千円、28万円なら8,400円です。賃上げ率だけを見ていると、この差は見えません。

一方で、賃上げをした企業の割合は医療、福祉のほうが伸びました。1人平均賃金を引き上げた・引き上げる企業は、医療、福祉で95.9%(前年84.9%)、全産業で92.0%(前年91.5%)です。上げる企業は1年で11ポイント増え、全産業より多くなりました。

医療、福祉2025年2026年
賃金を引き上げた・引き上げる企業84.9%95.9%
1人平均賃金の改定額(月)5,589円8,540円
1人平均賃金の改定率2.3%3.3%

自分の年収が、看護師の平均と比べてどこにいるかを見る

病院の賃上げは、2025年度に実際どうだった?

病院の数字は、日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会の4団体による「2025年度 病院経営定期調査(中間報告)」で確かめられます。調査期間は2025年7月10日〜9月19日、有効回答は1,236病院です。

項目割合・値
ベースアップ評価料を届け出た病院93.4%
2025年度に賃上げをした病院87.7%
賃上げをした1,084病院のうち、定期・評価昇給とベースアップ評価料の両方をした病院61.2%
全職種の平均賃上げ率で最も多かった区分2〜3%未満(23.4%)
全職種の賃上げ率の中央値3.0%
両方をした病院の、ベースアップ評価料の分の中央値2.5%
両方をした病院の、定期・評価昇給の分の中央値1.1%
2025年度の病院の賃上げ。ベースアップ評価料を届け出た病院93.4%、賃上げをした病院87.7%、全職種の賃上げ率の中央値3.0%、うちベースアップ評価料の分は2.5%

2025年度の病院の賃上げ率は、真ん中の病院で3.0%でした。その内訳を見ると、ベースアップ評価料の分が2.5%、定期昇給の分が1.1%です。2025年度の賃上げの大半は、ベースアップ評価料から出ていたことになります。

賞与のほうは、支給率(予定を含む)が「変わらない」病院が57.4%、「上がった」が24.3%、「下がった」が12.6%でした。月給は上がっても、賞与が下がった病院が1割あります。年収で見るなら、ボーナスの平均も合わせて確かめておくと、上がったかどうかが正しく分かります。

2026年度は、ベースアップ評価料の対象職員が事務職員などにも広がり、2026年6月〜2027年5月と2027年6月以降の2段階で評価が上がります。病院が届け出ているかは、職場に聞くのが早い確かめ方です。聞き方は看護師の給料を上げる方法の「職場に聞く3つのこと」にまとめています。

職場に聞く3つのことを見る

定期昇給とベースアップ、どちらで上がっている?

給料が上がる形には、年齢や勤続で上がる「定期昇給」と、賃金表そのものを引き上げる「ベースアップ」があります。厚生労働省の調査で、医療、福祉と全産業を並べます。

項目医療、福祉全産業
定期昇給の制度がある企業83.8%84.2%
定期昇給をした・する企業75.5%81.2%
ベースアップをした・する企業(定期昇給の制度がある企業のうち)48.7%57.9%
定期昇給とベースアップの区別がない企業29.9%24.7%
2026年の医療、福祉と全産業の比較。定期昇給の制度がある83.8%と84.2%、定期昇給をした75.5%と81.2%、ベースアップをした48.7%と57.9%

定期昇給の制度がある割合は、ほかの産業と変わりません。差が出るのはベースアップで、医療、福祉でベースアップをした企業は48.7%と半分以下です。全産業の57.9%より9ポイント低く、区別がない企業も3割あります。

この違いは、自分の給与明細の見方に関わります。定期昇給だけなら、同じ年齢・勤続の人が去年もらっていた額に自分が追いつくだけで、賃金表は動いていません。ベースアップなら、同じ号俸の基本給そのものが上がります。去年の自分の基本給と比べるのではなく、「去年のこの号俸の人」と比べると、ベースアップがあったかが分かります。

賃上げの時期も、医療、福祉には特徴があります。賃金を引き上げた・引き上げる企業のうち、1〜8月だけで改定したのは69.5%、9〜12月だけが12.3%、両方が14.1%でした。4社に1社は、年の後半にも改定があります。ベースアップ評価料の新しい期間が2026年6月から始まることと合う動きです。

ベースアップの有無は、基本給の欄ではなく「賃金表(給与規程の別表)」で分かります。号俸が同じで額が上がっていればベースアップ、号俸だけ進んでいれば定期昇給です。年に1回、この表を見る習慣をつけると、自分の病院が国の目標どおりに動いているかが毎年確かめられます。

自分の給料が上がったか、どこで確かめる?

確かめる場所は3つです。

確かめること見るところ目安
基本給と毎月の手当が上がったか今年と去年の同じ月の給与明細所定内の月給で3%前後。30万円なら月9千円ほど
ベースアップ評価料を届け出ているか職場(看護部・事務)に聞く2025年度は93.4%の病院が届け出ていた
賞与が下がっていないか夏と冬の賞与の支給月数2025年度は12.6%の病院で支給率が下がった

3つを見て、基本給も手当も去年のままで、ベースアップ評価料の話も聞かない職場なら、賃上げの流れから外れています。2026年度の診療報酬改定では、2024・2025年度に賃上げをした病院とそれ以外の病院を区別して、入院基本料などに減算の規定が新しく入りました。上げない病院は、収入の面でも不利になる仕組みです。

職場を変えて上げる場合は、求人票の基本給と手当の欄で、今の職場との差を年額で比べます。求人の比較に今の月給と求人の月給を入れると、年額の差が出ます。条件に合う求人を探すなら、看護師専門の転職サービスで、担当者に賃上げの実績やベースアップ評価料の届出を聞いてから応募すると、入ってからの差が小さくなります。求職者は無料で使えます。

サービスごとの違いは看護師の転職サービスの比較にまとめています。夜勤手当の額が賃上げの対象になることもあるので、夜勤手当の相場で今の1回の額が平均の11,470円より低くないかも見ておくと、交渉の材料になります。

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まとめ

  • 2026年の看護師の賃上げは、国の目標が3.2%(2027年度にさらに3.2%)。実績は、医療・福祉の会社組織の企業で月8,540円・3.3%、全産業は13,926円・4.4%(厚生労働省、2026年10月21日公表)
  • 医療・福祉の改定額は15産業でいちばん低く、改定率は下から2番目。上げた企業の割合は95.9%と全産業より多い
  • 病院は2025年度に87.7%が賃上げをし、賃上げ率の中央値は3.0%。うちベースアップ評価料の分が2.5%で、定期昇給の分は1.1%
  • 医療・福祉でベースアップをした企業は48.7%と半分以下。給与明細の基本給ではなく、賃金表の同じ号俸の額が上がったかで見分ける
  • 確かめる場所は、去年の同じ月の明細・ベースアップ評価料の届出・賞与の支給月数の3つ

3.2%は「国が病院に渡すお金の計算のもと」であって、あなたの明細に自動で載る数字ではありません。明細と賃金表を去年と並べて、載っていなければ職場に聞く。それでも動かない職場なら、賃上げをしている職場と年額で比べる。順番はこれだけです。

よくある質問

Q. 看護補助者や事務職員の賃上げの目標は、看護師と同じ3.2%ですか? A. 違います。2026年度の診療報酬改定では、医療機関の対象職員の賃上げ目標は2026年度・2027年度とも3.2%ですが、看護補助者と事務職員は5.7%です。40歳未満の医師・歯科医師も新たに対象に入りました。

Q. ベースアップ評価料のお金を、夜勤手当に使ってもよいのですか? A. 2026年度の改定で、看護職員処遇改善評価料とベースアップ評価料による収入を、夜勤手当の増額に使えるようになりました。夜勤職員を確保するための見直しです。基本給が上がっていなくても、夜勤手当の1回の額が上がっていれば、この評価料が使われている場合があります。

Q. 労働組合がある職場と無い職場で、賃上げに差はありますか? A. 厚生労働省の調査(全産業)では、労働組合がある企業の改定率は4.5%・14,757円、無い企業は4.2%・13,033円でした。ベースアップをした割合は、組合ありが83.9%、組合なしが48.8%で、大きな差があります。

Q. 夏の賞与は、医療・福祉ではどれくらいの企業が出していますか? A. 2026年の夏の賞与を「支給した・支給する(額が決まっている)」医療、福祉の企業は87.0%、「支給するが額は未定」が10.6%、「支給しない」が2.5%でした。全産業では支給が88.5%、未定5.3%、支給しないが5.3%です。

出典(2026-10-30に確認):

公開日: